【オリゴ糖食品における「100%オリゴ糖」表示と品質誤認表示該当性―不正競争防止法2条1項20号と損害額推定覆滅】
投稿日:2026年7月17日 |
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著者:弁護士 大野 浩之
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参照条文/キーワード/論点 |
不正競争防止法/品質誤認表示 |
ポイント
※被告は、実際のオリゴ糖含有率が約53%であるにもかかわらず、「純粋100%オリゴ糖」「100%高純度」等と表示して販売しており、裁判所は品質誤認表示に当たると判断した。 |
判決概要 |
| 裁判所 | 東京地方裁判所民事第46部 |
| 判決言渡日 | 令和3年2月9日 |
| 事件番号 | 平成30年(ワ)3789号 |
| 事件名 | 不正競争行為差止等請求事件 |
| 裁判長裁判官
裁判官 裁判官 |
柴田 義明
佐伯 良子 佐藤 雅浩 |
事案の概要
本件は、原告が、被告に対し、 〈1〉被告は、被告商品の品質について誤認させるような表示をして(不正競争防止法2条1項20号)、原告の営業上の利益を侵害した等と主張して、侵害行為停止・予防請求権(同法3条1項)に基づき、被告商品の広告、取引に用いる書類及び通信等に本件表示をする行為の差止めを求めるとともに、侵害行為組成物廃棄等請求権(同条2項)に基づき、被告商品の広告、取引に用いる書類及び通信等における本件表示の抹消、並びに、被告が既に配布した本件各文書のうち本件表示部分の回収を求め、〈2〉また、被告は、競争関係にある原告の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知するなどして(同法2条1項21号)、原告の営業上の利益を侵害した等と主張して、侵害行為停止・予防請求権(同法3条1項)に基づき、本件虚偽事実の告知し又は流布する行為の差止めを求めるとともに、侵害行為組成物廃棄等請求権(同条2項)に基づき、被告が既に配布した本件各文書のうち本件虚偽事実部分の回収を求め、 〈3〉被告による上記の品質誤認表示行為及び信用棄損行為について、不法行為による損害賠償請求権(同法4条、民法709条)に基づき、損害賠償金の支払を求めた事案である。
判旨
(1) オリゴ糖に係る一般的知見等
健康食品市場においては、オリゴ糖は、大腸において有用菌の栄養源となってその増殖を促進し、整腸作用を補助するほか、熱量が低く虫歯を予防する効果、血糖値上昇を抑制する効果などが確認されており、砂糖に代わる甘味料として多くの飲料や菓子類に採用されているとされている。(乙59)
例えば、オリゴ糖のうち、フラクトオリゴ糖は、腸内細菌を介して健康、栄養に寄与する働きがあるとされ、ラフィノースは、ビート(砂糖大根、甜菜)から分離精製される天然のオリゴ糖であり、ユーカリの樹液や大豆などにも含まれ、腸の動きを促進して便秘を防ぎ、免疫力を高めるなどとされている。なお、2糖類であるショ糖は、小腸で消化吸収され血中に取り込まれるとされており、便通改善効果等は報告されていない。(甲39、乙1、2)
(2) 被告商品の販売等について
ア 被告商品は平成25年頃に販売が開始され、被告は、平成26年7月に設立後、被告商品を販売するようになった。
被告商品は、白色の粉末をパッケージに入れたものであり、被告のブログでは、それをヨーグルトや飲み物に入れて使うほか、料理に使ったりすることが考えられることが記載されている。(甲10、14)
被告商品を販売するサイト(前記第2の1(2)ケ)においては、被告商品の写真が掲載されるとともに、その横に「カラダの中の善玉菌を最大活性化させるため、独自のブレンドで5種のオリゴ糖を配合しました。吸収されにくいオリゴ糖を厳選したから、腸までしっかり届きます!しかも!他の素材は一切使わずオリゴ糖のみで作ったはぐくみオリゴ(判決注:被告商品)は、妊娠中はもちろん、赤ちゃんにも安心して使っていただけます。…」という記載がある。また、その説明等の後に、「業界トップクラスのブレンド数!!」として、被告商品は、オリゴ糖の中から5種類のオリゴ糖を厳選したこと、「ガラクトオリゴ糖」「キシロオリゴ糖」、「ラフィノース」、「フラクトオリゴ」、「乳果オリゴ」を使ったことなどが記載され、また、ガラクトオリゴ糖について数多くの菌を強く育てる素材として注目されており、キシロオリゴ糖についてカラダの通りをサポートしてくれる働きが強いことなど、それぞれのオリゴ糖についての効能等の説明がされている。被告が開設したブログには、オリゴ糖の特徴として、腸内環境を整えることや、虫歯の原因になりにくいこと、低カロリーであることが挙げられ、オリゴ糖食品の中には砂糖が含まれているものもあるが、被告商品は砂糖を使用していないことが記載されるなどしていた。(甲10、13)
イ 被告商品のパッケージには、名称として「オリゴ糖類食品」と記載され、「原材料名」として「乳糖果糖オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖粉末、フラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ラフィノース」と記載されていた。原材料名に記載されているのは、いずれもオリゴ糖である。(乙8、弁論の全趣旨)
株式会社江東微生物研究所の食品分析センターが分析したところ、被告製品100グラムには、乳糖果糖オリゴ糖(ラクトスクロース)が46.5グラム、ガラクトオリゴ糖が2.2グラム、フラクトオリゴ糖が4.59グラム(1-ケストース、ニストース、フラクトフラノシルニストースの合計。日本食品分析センターの分析(乙20)でもこれらをフラクトオリゴ糖としている。)含まれており、キシロオリゴ糖、ラフィノースは、それらの定量下限を0.1グラムとする上記分析では検出されなかった。被告商品における上記のオリゴ糖の合計の重量比の割合は、53.29%となる。(甲53)
ウ 原告は、平成28年11月、被告に対し、被告商品の広告内容について抗議した。被告は、原告に本件回答書面を送付した上、自社の電子商取引サイト等における「オリゴ糖100%」などの表示を削除した。(甲3、4、45)
また、被告は、本件訴え提起がされた平成30年2月には、アフィリエーターらに対し、「オリゴ糖100%使用」、「オリゴ糖のみ使用」との表示をしないよう求め、同月中に既にした表示を訂正しない場合には契約を解除する旨通知した。(乙55、56)
エ 被告は、平成30年11月20日以降、被告商品の原材料を変更し、オリゴ糖と乳酸菌を配合した食品として販売するようになった(以下、仕様変更後の被告商品を「変更後被告商品」という。)。(乙57、58)
(3) 原告商品について
ア 原告は、遅くとも平成24年頃には、原告商品の販売を開始した。
原告商品は、白色の粉末をパッケージに入れたものであり、原告のウェブサイトでは、飲み物やヨーグルトに入れて使用することなどが記載されていた。
原告は、平成25年3月から平成26年2月頃、原告商品を「厳選された高純度オリゴ糖を配合した純度ほぼ100%の高品質なオリゴ糖食品」、「高品質・高純度のほぼ100%のナチュラルオリゴ糖」である旨表示して販売していた。当時の原告商品のパッケージには、名称として「オリゴ糖含有食品」と記載され、「原材料名」として「ラフィノース、ミルクオリゴ糖、乳糖、セロオリゴ糖、ショ糖」と記載されており、原告商品に含まれるオリゴ糖の割合は約97.5%であった。(甲5、6、52、乙5、6)
イ 原告は、平成28年7月29日以降、原告商品の原材料を変更した。変更後の原告商品のパッケージには、名称として「オリゴ糖含有食品」と記載され、原材料名として「ラフィノース、ミルクオリゴ糖、乳糖、フラクトオリゴ糖、アカシア食物繊維、イソマルトオリゴ糖、難消化性デキストリン、ショ糖/環状オリゴ糖」と記載されていた。このうち、難消化性デキストリンは、でんぷんの部分分解物である多糖類であり、食物繊維に分類されている。新しい原告商品に含まれるオリゴ糖の割合は約70%であった。(甲52、60、乙20、29)
2 争点〈1〉(被告が品質誤認表示行為を行ったか。)について
(1) 本件表示について
被告商品は、オリゴ糖を含むことをうたう商品である(前記1(2)ア)。そして、オリゴ糖類食品は、オリゴ糖が健康に有用な効果作用を発揮するとされていることから健康食品市場において需要を獲得しているものであり(同(1)イ)、被告商品も、被告商品に含まれるというオリゴ糖について、その種類ごとの効能等を述べた上で、オリゴ糖を摂取することによる効能を述べるなどして販売されていた(同(2)ア)。これらからすると、需要者は、被告商品においてはオリゴ糖が商品の効能等を決するものであると理解し、被告商品におけるオリゴ糖の純度、割合が示された場合には、被告商品に含まれる上記の効能等を有するオリゴ糖の成分の割合が示されて、被告商品の効能に関係する表示がされていると理解するといえる。これらによれば、被告商品に含まれているオリゴ糖の割合についての表示は、被告商品の品質についての表示といえる。
前記1(2)イによれば、被告商品に含まれるオリゴ糖の成分は、商品のうち53.29%であると認められ、また、被告商品の具体的な原材料は不明といえる。
本件表示のうち、「純粋100%オリゴ糖」、「純度100%」、「100%高純度のオリゴ糖」、「100%高純度」の表示は、需要者に対し、被告商品に含まれるオリゴ糖の成分の割合が、100%であるか、少なくともそれに近いものであるとの印象を与えるものであって、被告商品の品質について誤認させるような表示であると認められる。また、上記のようなオリゴ糖の健康食品市場における位置付けや被告商品の説明に照らしても、本件表示のうち「オリゴ糖100%」、「100%オリゴ糖」、「オリゴ糖 100 パーセント」、「天然由来100%オリゴ糖」という表示も、これと同時に用いられているなどする上記の「純度」に係る表示と併せて読まれるなどして、需要者に対し、被告商品の100%又はそれに近い部分が上記の効能を有する成分であるオリゴ糖で構成されているとの印象を与えるものであって、被告商品の品質について誤認させるような表示であるというべきである。
(2) 被告の行為について
被告が積極的にその意思により被告商品の品質について誤認させるような表示(以下、本件表示のうち前記(1)に記載した品質を誤認させるような表示を「本件品質誤認表示」ということがある。)をしていたのは平成26年7月から平成30年2月頃までであったといえる。もっとも、被告が積極的に利用していたアフィリエートは、契約に係る個人が商品等を紹介することにより商品等の広告、販売の促進を図る仕組みであり(前記第2の1(2)オ)、被告がアフィリエーターらに対し「オリゴ糖100%使用」等の表示をしないよう求める旨通知したとしても、直ちにこれが広く守られるとまでは認められず、被告が被告商品の販売を継続していた同年11月までは、従前の表示が撤回されたとはいえず、実質的に被告は本件品質誤認表示をしていたものと認めるのが相当である。
他方、被告が変更後被告商品の販売を開始した後の同年12月以降は、被告がアフィリエーターらに対し上記通知をしてから相当期間が経過しており、一部のウェブサイト等に被告の意思によらずに被告表示が残存してはいたものの、被告商品の仕様も、5種類のオリゴ糖を配合したことをうたうものから、オリゴ糖と乳酸菌を配合したことをうたうものに変更された(前記1(2)エ)から、被告が変更後被告商品の販売に当たり被告表示をしていたとは認められない。
以上から、被告は、平成26年7月から平成30年11月まで、故意により、被告商品の品質について誤認させるような本件品質誤認表示をして、被告商品を販売していたと認められる。他方、被告は、平成28年11月に原告から抗議を受けた後、自社の電子商取引サイト等における本件品質誤認表示を削除し、平成30年2月にはアフィリエーターらに対しても、本件品質誤認表示をしないように求め、表示を訂正しない場合には契約を解除する旨通知したほか(前記1(2)ウ)、平成30年11月には乳酸菌を加えるなどした変更後商品を販売し(同エ)、従来の被告商品の販売終了から一定の時間も経過したことなどから、現在、被告が、被告商品の品質について誤認させるような本件品質誤認表示をして被告商品を販売する蓋然性があるとは認めるに足りない。
5 争点〈4〉(損害の発生及び額)について
(1) 損害の発生について
被告は平成26年7月から平成30年11月まで故意により本件品質誤認表示を行った。そして、原告商品と被告商品はいずれもオリゴ糖を含有する粉末の商品であり(前記1(2)ア、同(3)ア)、市場における原告商品の占有率が一定程度あるほか(後記(3)イ(イ))、品質誤認表示行為がある場合に原告が損害を受けたことは被告も争わず(前記第2の1(3)、第2の2(4)(被告の主張)ア)、被告の本件品質誤認表示によって、原告の営業上の利益が侵害されたと認められ、不正競争防止法5条2項により、被告が上記の期間において本件品質誤認表示により受けた利益の額が原告が受けた損害の額と推定される。
(2) 被告が受けた利益について
不正競争防止法5条2項所定の侵害者が侵害行為により受けた利益の額は、侵害行為を組成した物の販売に係る売上高から、その販売等に直接関連して追加的に必要となった経費を控除した利益の額をいい、その利益の額の全額が損害と推定されると解される。
(3) 推定覆滅事由について
ア 不正競争防止法5条2項による推定は、侵害者による侵害行為がなかったとしても侵害者が受けた利益を被侵害者が受けたとはいえない事情が認められる場合には、覆滅されると解される。
イ 掲記の証拠によれば、次の各事実が認められる。
(ア) 被告は、被告商品について、電子商取引サイト等において、本件品質誤認表示によるオリゴ糖の純度に係る特徴のほか、オリゴ糖が1種類ではなく、複数の種類のオリゴ糖を配合していることを強調し、また、被告商品の原材料が全て動植物に由来するものであり添加物がないことなどの特徴をも大きく取り上げ、妊婦や乳幼児等が摂取しても安全、安心であるなどと広告宣伝していた。さらに、「実感力」などの言葉を使って、584人のアンケート結果によれば、「『毎日すっきり!』実感できました!」というモニターが76.1%であるなど、多くの者が何らかの形で便通の効果を実感しているとして、「満足率97.2%」であるという記載をするなどしていた。(甲10~16)
被告は、被告商品の購入者に対して、商品を使用した感想、被告の客対応、他社との違い等を自由に記載する欄を設けたアンケートの葉書を交付していたところ、それらを記載して被告に返送した回答者928人のうち、被告商品が「オリゴ糖100%」であることについて言及したものは6人であった。回答者には、多くの者が便通が改善したことを述べていた。(乙41、42)
(イ) オリゴ糖類食品は、オリゴ糖などを組み合わせ、配合することによって製造されており、主力製造業者及びその販売する商品としては、原告商品及び被告商品のほか、塩水港精糖の「オリゴのおかげ」、加藤美蜂園本舗の「北海道てんさいオリゴ」、日本オリゴの「日本オリゴのフラクトオリゴ糖」、株式会社明治フードマテリアの「メイオリゴ」、HプラスBライフサイエンスの「オリゴワン」、伊藤忠製糖の「クルルのおいしいオリゴ糖オリゴDEクッキング」、井藤漢方製薬の「乳酸菌オリゴ糖」、梅屋ハネーの「梅屋イソマルトオリゴ糖」、正栄の「スッキリオリゴ糖」、ユウキ製薬の「活き活きオリゴ糖」、オリヒロの「オリゴ糖シロップ」、ビオネの「ビオネ・ビートオリゴ」、日本甜菜製糖の「ラフィノース100」などがある。これらのオリゴ糖類食品市場における平成25年度から平成28年度及び平成30年度の原告商品の占有率は、22.8%から26.9%であり、平均約24.4%であった。
ウ 被告は、被告商品について、本件品質誤認表示によるオリゴ糖の純度に係る特徴のほか、複数の種類のオリゴ糖を配合していること、被告商品の原材料が全て動植物に由来するものであり添加物がないことなどの特徴をも大きく取り上げ、妊婦や乳幼児等が摂取しても安全、安心であるなど、被告商品の魅力を掲げて広告宣伝していた。そして、被告商品の購入者が自由に記載したアンケート結果によっても、オリゴ糖の純度に特に着目して被告商品を購入した需要者が多かったことが直ちに認められるものとまではいえない(前記イ(ア))。また、オリゴ糖類食品には様々な形態のものが存在し、原告商品と被告商品が似た形態であるのに対し、これらと異なる形態のものが多数あるのであるが、形態にかかわらず、これらの商品は、基本的に需要者である一般消費者が、オリゴ糖を簡便に摂取できる点に商品の意義が認められている。そうすると、需要者は、多数の各商品の中から、各商品の様々な特徴を勘案して選択、購入することもあるといえ原告商品以外のオリゴ糖類商品も原告商品及び被告商品と市場において競合するといえるものである。このようなオリゴ糖類食品市場における原告商品の市場占有率は概ね24.4%程度であった(同(イ))。
そして、本件では品質を誤認させるような表示が問題となっていて、被告商品の出所を原告と誤認するおそれが問題となっているわけではないところ、被告商品を販売するウェブサイトには、被告が強く関与するもの(前記第2の1(2)ケ)に加えて、アマゾン、楽天、ヤフーなどが運営するサイトもあり、これらにおいて原告商品について触れられているとは認められない(甲10、15、32)。
これらを考慮すると、被告の本件品質誤認表示による被告商品の販売数量の増加と、他のオリゴ糖類食品の販売数量の低下、さらには、原告商品の販売数量の低下との間には、それほど強い相関関係が成り立つとはいえず、上記の各事情を総合考慮すれば、被告の本件品質誤認表示がなかったとしても被告が受けた利益を原告が受けたとはいえない事情が相当程度認められ、被告が受けた利益の額の97%について、原告が受けた損害の額であるとの推定が覆滅されるとするのが相当である。
以上から、上記推定覆滅後の額は、別紙損害額の推定覆滅後の金額欄記載のとおり、1835万7803円となる。
解説/検討
本判決は、品質誤認表示の成否と損害額の算定を区別して判断した点に特徴がある。
まず裁判所は、被告商品の実際のオリゴ糖含有率が約53%であったにもかかわらず、「純粋100%オリゴ糖」「100%高純度」等と表示していたことから、需要者にオリゴ糖がほぼ全量を占める商品であるとの印象を与えるとして、不正競争防止法2条1項20号の品質誤認表示に該当すると認定した。この判断自体は、商品の主要な有効成分の割合について事実と異なる表示を行った事案であり、妥当なものといえる。
一方で、損害額については、不正競争防止法5条2項による利益額の推定を大幅に覆滅した。裁判所は、需要者が商品を選択する理由はオリゴ糖の純度だけではなく、複数種類のオリゴ糖の配合、安全性、使用感、便通改善効果など様々であること、また市場には多数の競合商品が存在し、原告の市場占有率も約24%にとどまることを重視した。その結果、被告商品の売上増加が直ちに原告商品の売上減少に結び付くとはいえないとして、利益額の97%について推定覆滅を認めた。
本判決は、品質誤認表示が認められる場合であっても、損害額の算定においては、①競合商品の存在、②原告の市場占有率、③需要者の購入動機、④誤認表示以外の商品特徴といった事情を具体的に立証することで、大幅な推定覆滅が認められ得ることを示した事例として参考になる。特に被告側の立場からは、「問題となった表示が商品の主要な顧客吸引力ではなかった」ことを立証することが、損害額を減額する上で重要であることを示した判決といえる。
