【商品写真における被写体の選択・配置等の共通性を認めつつ、ありふれた表現として写真著作物の類似性(複製・翻案)を否定した事例】
投稿日:2026年8月19日 |
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著者:弁護士 盛田 真智子
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参照条文/キーワード/論点 |
著作権法112条1項・2項/114条1項/2条1項1号/2条1項15号/21条/27条/写真の著作物の類似性判断/複製/翻案/創作的表現 |
ポイント
※本判決は、写真著作物の複製・翻案該当性について、共通する表現が「創作的表現」であることを要するとした上、ありふれた表現の共通のみでは複製・翻案に当たらないと判示した。 |
判決概要 |
| 裁判所 | 東京地方裁判所民事第29部 |
| 判決言渡日 | 令和4年3月30日 |
| 事件番号 | 令和2年(ワ)第32121号 |
| 事件名 | 著作権侵害差止等請求事件 |
| 裁判長裁判官
裁判官 裁判官 |
國分 隆文
矢野 紀夫 佐々木 亮 |
事案の概要
被告が商品に付した「スティック春巻」の写真ラベルシール(被告写真3)が、原告の写真に係る著作権を侵害するか否かが問題となった事案である。
本件判決で、東京地裁は、原告写真と被告写真3は、ありふれた表現が共通するにすぎず、創作的表現が共通するとは認められないから、被告写真が原告写真を複製又は翻案したものに当たるとは認められないと判示し、原告の差止め・損害賠償請求を棄却した。その際、両写真の共通点のうち、撮影の工夫に関する共通点だけではなく、被写体の選択・組合せ・配置等に関する共通点についても検討された。
1 概要
原告は、食品の企画、開発、輸入及び販売を主たる業とする株式会社である。被告は、冷凍食品、加工食品、生鮮食品、飲料品等の食品の企画、開発、製造、販売及び輸出入等を業とする株式会社である。
【経緯】
・原告写真の撮影
平成27年8月頃、原告が、写真撮影を業とする株式会社オージーフーズに対し、企画開発したスティック春巻の商品パッケージに使用するための写真の撮影を委託。
同社は、この原告写真を原告に納入するに際して、原告に対し、原告写真の著作権(翻案権や二次的著作物の利用に関する権利を含む。)を譲渡した。
・原告写真の朋社への送付
平成28年10月頃、原告が、商品包装パッケージの印刷及び販売を主たる業とする株式会社朋ジェーエス・ピー(以下「朋社」という。)に対し、スティック春巻の商品パッケージのデザインを委託するとともに、原告写真の画像データをメールで送信。
・朋社が原告写真を被告ラベルシール1及び2に無断使用
令和元年9月、被告が、朋社に対し、被告が販売する商品である「えびチーズ春巻」の商品パッケージデザインの制作及び印刷を委託。
令和2年1月頃、朋社が、原告から受信した原告写真の画像データを原告に無断で使用して、被告ラベルシール1及び2を制作。朋社は、同年2月、被告ラベルシール1及び2を計12万枚印刷し、うち大2万8800枚及び小4万4000枚を被告に納品。
被告ラベルシール1及び2の写真部分(以下、前者を「被告写真1」、後者を「被告写真2」という。)は、スティック春巻、野菜及び白い皿を被写体とするものであるところ、これらは原告写真と同一である。
被告は、令和2年2月以降、パッケージにこのラベルシールを貼付した「えびチーズ春巻」の営業活動を展開。
・原告の警告書
原告は、令和2年3月12日付けの「警告書」と題する内容証明郵便(以下、「本件警告書」という。)を被告に送付し、原告写真の無断使用等を中止することを請求。
その後、被告及び朋社は、原告に対し、被告ラベルシール1及び2に関して、原告写真の画像データを無断で使用した事実を認めた。
・被告ラベルシール3の制作
被告は、令和2年4月頃、被告ラベルシール3の写真部分(以下「被告写真3」という。)に係る写真を自ら又は第三者に委託して撮影し、朋社に当該写真の画像データを送信。朋社は、当該データを用いて被告ラベルシール3を7万2800枚印刷し、被告に納品。
・本件訴訟の提起
原告は、被告に対し、原告写真が写真の著作物に該当し、被告が、「被告ラベルシール1」及び「被告ラベルシール2」を商品に付して販売する行為が原告の原告写真に係る著作権(複製権及び譲渡権)を侵害し、「被告ラベルシール3」を商品に付して販売する行為が原告の原告写真に係る著作権(複製権又は翻案権及び譲渡権)を侵害すると主張して、著作権法112条1項及び2項に基づき、被告ラベルシール1ないし3の各写真部分(スティック春巻、野菜及び白い皿を被写体とする部分をいう。以下同じ。)の複製、改変、譲渡及び頒布の差止め並びに廃棄を求めるとともに、被告ラベルシール3に係る著作権侵害について、不法行為に基づく損害賠償請求として著作権法114条1項による損害額等の支払を求めた。
争点
1 本件各写真の著作物性(争点1)
2 著作権の帰属(争点2)
3 複製の成否(争点3)
4 引用の成否(争点4)
5 付随対象著作物の利用の成否(争点5)
6 損害額(争点6)
以下では、争点4に関する点について記載する。
判旨
1 争点1(著作権侵害の成否)について
著作権法が、著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの(同法2条1項1号)をいい、複製とは、印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製することをいう旨規定していること(同項15号)からすると、著作物の複製(同法21条)とは、当該著作物に依拠して、その創作的表現を有形的に再製する行為をいうものと解される。
また、著作物の翻案(同法27条)とは、既存の著作物に依拠し、かつ、その表現上の本質的な特徴である創作的表現の同一性を維持しつつ、具体的表現に修正、増減、変更等を加えて、新たに思想又は感情を創作的に表現することにより、これに接する者が既存の著作物の創作的表現を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいうものと解される。
そうすると、被告写真3が原告写真を複製又は翻案したものに当たるというためには、原告写真と被告写真3との間で表現が共通し、その表現が創作性のある表現であること、すなわち、創作的表現が共通することが必要であるものと解するのが相当である。
一方で、原告写真と被告写真3において、アイデアなど表現それ自体ではない部分が共通するにすぎない場合には、被告写真3が原告写真を複製又は翻案したものに当たらないと解される。そして、共通する表現がありふれたものであるような場合には、そのような表現に独占権を認めると、後進の創作者の自由かつ多様な表現の妨げとなり、文化の発展に寄与するという著作権法の目的(同法1条)に反する結果となりかねないため、当該表現に創作性を肯定して保護することは許容されない。したがって、この場合も、複製又は翻案したものに当たらないと解される。
(2) 原告は、原告写真と被告写真3において共通する部分である共通点aないしfは創作性のある表現であるから、被告写真3は原告写真を複製又は翻案したものに当たる旨主張するので、以下において判断する。
ア 共通点aについて
原告写真と被告写真3とは、被写体であるスティック春巻を2本ないし3本ずつ両側から交差させている点において共通する。
しかし、証拠によれば、角度や向きを変えながら料理を順に重ねて盛る「重ね盛り」という方法が存在することが認められるところ、原告写真と被告写真3の被写体であるスティック春巻はいずれも細長い形状を有するから、スティック春巻を盛り付ける場合に、上記の「重ね盛り」の方法によってスティック春巻を数本ずつ交差させて配置することは、スティック春巻の撮影する場合に一般的に行われるものであるということができる。加えて、証拠によれば、共通点aと同様に、棒状の春巻を配置して撮影された写真が複数存在すると認められることに照らすと、上記の共通点に係る表現は、ありふれたものといわざるを得ない。
以上によれば、共通点aは創作的表現であるとはいえないから、被告写真3の共通点aの部分が、原告写真の共通点aの部分を複製又は翻案したものに当たると認めることはできない。
イ 共通点bについて
原告写真と被告写真3とは、2本のスティック春巻を斜めにカットして、断面を視覚的に認識しやすいように見せ、さらに、チーズも主役でない程度に見えるようにしている点において共通する。
しかし、具が衣に包まれているという春巻の形状に照らすと、春巻の具を撮影するためには春巻をカットしなければならないし、その際、具を強調するために、断面積が大きくなるよう、斜めにカットすることは、スティック春巻を撮影する際に一般的に採用され得る手法ということができる。加えて、証拠によれば、共通点bと同様に春巻を斜めにカットした断面を配置して撮影された写真が複数存在すると認められることに照らすと、上記の共通点に係る表現は、ありふれたものといわざるを得ない。
以上によれば、共通点bは創作的表現であるとはいえないから、被告写真3の共通点bの部分が原告写真の共通点bの部分を複製又は翻案したものに当たると認めることはできない。
ウ 共通点cについて
原告写真と被告写真3とは、端に角度がついた、白色で模様がなく、被写体である複数本のスティック春巻とフィットする大きさの皿を使用している点において共通する。
しかし、証拠によれば、白い器は料理の色を引き立てる効果があり、選択肢として基本的な色であること、料理の写真を撮影する際には盛り付ける料理にぴったり合う大きさの皿を選択することが重要であることが認められる。そうすると、白色で模様がなく、黄土色のスティック春巻とフィットする大きさの皿を使用することは、スティック春巻の写真を撮影する上で一般的に行われ得るということができる。加えて、証拠によれば、共通点cと同様に、白色で模様がなく、被写体である複数本のスティック春巻とフィットする大きさの皿を使用して撮影された写真が複数存在すると認められることに照らすと、上記の共通点に係る表現はありふれたものといわざるを得ない。
以上によれば、共通点cは創作的表現であるとはいえないから、被告写真3の共通点cの部分が原告写真の共通点cの部分を複製又は翻案したものに当たると認めることはできない。
エ 共通点dについて
原告写真と被告写真3とは、皿に並べた春巻を、正面からでなく、角度をつけて撮影している点において共通する。
しかし、証拠によれば、料理写真の構図として、料理を正面から撮影するのではなく、左右に回転させて左右向きに配置して、斜めの方向から撮影する手法が存在することが認められる。そうすると、皿に並べた春巻を、角度をつけて撮影することは、一般的に行われ得るということができる。加えて、証拠によれば、共通点dと同様に、皿に並べた春巻を、角度をつけて撮影した写真が複数存在すると認められることに照らすと、上記の共通点に係る表現はありふれたものといわざるを得ない。
以上によれば、共通点dは創作的表現であるとはいえないから、被告写真3の共通点dの部分が原告写真の共通点dの部分を複製又は翻案したものに当たると認めることはできない。
オ 共通点eについて
原告写真と被告写真3とは、撮影時に光を真上から当てるのではなく、斜め上から当てることで、被写体の影を付けている点において共通する。
しかし、証拠によれば、料理写真の撮影方法として、料理の斜め後ろから料理に光を当て、料理上部を明るく照らすとともに手前側を暗くして立体感を生じさせる斜め逆光という手法が存在すること、斜め逆光は料理写真で最もよく使われるライティングであることが認められる。
したがって、被写体に影を付け、立体感を醸成するという撮影方法は、春巻を含む料理の写真を撮影する上で一般的に用いられ得る手法であるということができる。加えて、証拠によれば、共通点eと同様に、斜め逆光の手法を用いて撮影された春巻の写真が多数存在すると認められることに照らすと、上記の共通点に係る表現はありふれたものといわざるを得ない。
以上によれば、共通点eは創作的表現であるとはいえないから、被告写真3の共通点eの部分が原告写真の共通点eの部分を複製又は翻案したものに当たると認めることはできない。
カ 共通点fについて
原告写真と被告写真3とは、葉物を含む野菜を皿の左上のスペースに置いている点において共通する。
しかし、揚げ物である春巻に、野菜が付け合わせとして盛り付けられることは、一般的に行われることであるといえるから、春巻の写真を撮影する際に野菜が皿の隅のスペースに置かれることもまた、一般的に行われることということができる。現に、証拠によれば、上記の共通点と同様に配置された春巻の写真が複数存在することが認められる。そうすると、上記の共通点に係る表現はありふれたものといわざるを得ない。
以上によれば、共通点fは創作的表現であるとはいえないから、被告写真3の共通点fの部分が原告写真の共通点fの部分を複製又は翻案したものに当たると認めることはできない。
キ 全体的観察
前記アないしカのとおり、共通点aないしfはいずれも創作的表現であるとは認められないから、これらの共通点を全体として観察しても、原告写真と被告写真3との間で創作的表現が共通するとは認められない。
ク 小括
以上の次第で、原告写真と被告写真3は、ありふれた表現が共通するにすぎず、原告写真と被告写真3との間で創作的表現が共通するとは認められないから、被告写真3が原告写真を複製又は翻案したものに当たるとは認められない。
(3) 以上によれば、被告が、被告ラベルシール3を制作し、商品に貼って食品スーパーマーケット及び量販店に販売することが、原告写真に係る原告の著作権(複製権及び譲渡権又は翻案権)を侵害するとは認められない。
したがって、その余の点について判断するまでもなく、原告の請求のうち、被告写真3が原告写真に係る原告の著作権を侵害することに基づく差止め、廃棄及び損害賠償請求にはいずれも理由がない。
2 争点2(差止め及び廃棄の必要性)について
被告は被告ラベルシール1及び2の全部を焼却処分した上、前記(1)ウのとおり、被告が販売する商品には被告ラベルシール3を付している。したがって、被告が商品を販売するために、被告ラベルシール1及び2を付する必要性は現時点においては認め難い。
以上に加え、前記(1)アのとおり、被告は、本件警告書を受領してからわずか3日後に被告ラベルシール1及び2の全部を焼却処分し、本件警告書を受領してから10日間のうちに、本件警告書の記載内容に関する調査に着手し、無断使用の事実を認め、商品パッケージのラベルを差し替える旨を表明している。そうすると、被告は、原告からの被告ラベルシール1及び2に関する警告に可能な限り迅速に対応したものということができ、他方、その対応に特段不誠実な点もうかがわれない。こうした被告の対応振りに照らしても、今後、被告において、商品を販売するために被告ラベルシール1及び2を付するおそれがあるとは認め難いということができる。
したがって、本件において、被告が被告ラベルシール1及び2の各写真部分(被告写真1及び2)を複製、改変、譲渡又は頒布する行為を差し止める必要性は認められない。」
解説/検討
本判決は、類似性の判断基準について「アイデアなど表現それ自体ではない部分が共通するにすぎない場合には、・・・複製又は翻案したものに当たらない」「共通する表現がありふれたものであるような場合には、・・・複製又は翻案したものに当たらない」と判示した。これは、最高裁平成13年6月28日判決(江差追分事件)において「既存の著作物に依拠して創作された著作物が、思想、感情若しくはアイデア、事実若しくは事件など表現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分において、既存の著作物と同一性を有するにすぎない場合には、翻案には当たらない」とされたことを踏襲するものである。写真の著作物の類似性判断に当たっては、西瓜写真事件の第一審判決(東京地裁平成11年12月15日判決)は「写真に創作性が付与されるゆえんは、被写体の独自性によってではなく、撮影や現像等における独自の工夫によって創作的な表現が生じ得ることによるものであるから、いずれもが写真の著作物である二つの作品が、類似するかどうかを検討するに当たっては、特段の事情のない限り、被写体の選択、組合せ及び配置が共通するか否かではなく、撮影時刻、露光、陰影の付け方、レンズの選択、シャッター速度の設定、現像の手法等において工夫を凝らしたことによる創造的な表現部分、すなわち本質的特徴部分が共通するか否かを考慮して、判断する必要があるというべきである。」と判示した。
これとは逆に、同事件の控訴審判決(東京高裁平成13年6月21日判決)は「景色、人物等、現在する物が被写体となっている場合の多くにおけるように、被写体自体に格別の独自性が認められないときは、創作的表現は、撮影や現像等における独自の工夫によってしか生じ得ないことになるから、写真著作物が類似するかどうかを検討するに当たっては、被写体に関する要素が共通するか否かはほとんどあるいは全く問題にならず、事実上、撮影時刻、露光、陰影の付け方、レンズの選択、シャッター速度の設定、現像の手法等において工夫を凝らしたことによる創造的な表現部分が共通するか否かのみを考慮して判断することになろう。しかしながら、被写体の決定自体について、すなわち、撮影の対象物の選択、組合せ、配置等において創作的な表現がなされ、それに著作権法上の保護に値する独自性が与えられることは、十分あり得ることであり、その場合には、被写体の決定自体における、創作的な表現部分に共通するところがあるか否かをも考慮しなければならないことは、当然である」と判示し、被写体の選択、組合せ、配置等も考慮すべきであるとした。
本件判決は、d(角度をつけた撮影)、e(光の当て方)といった撮影の工夫に関する点だけではなく、a(交差させた盛り方)、b(春巻を斜めにカット)、c(お皿の選択)、f(野菜の盛り付け)といった点も検討されており、撮影角度やライティングのみならず、被写体の選択・組合せ・配置に関する要素についても個別に創作性の有無を検討している。その意味で、写真著作物の類似性判断において、被写体の選択・組合せ・配置も創作的表現となり得ることを前提とした判断であると理解できる。
西瓜写真事件の控訴審判決と本件判決は、どちらも食材を配置した写真で、どちらも被写体の選択、組合せ、配置等を考慮している。両判決は一見すると異なる結論に至っているように見えるが、その違いは、被写体の選択・組合せ・配置等が「ありふれた表現」であることについて提出された証拠の有無にあると考えられる。
本件判決では、全ての共通部分について「証拠によればそのような工夫は一般的に行われることである」「同様の写真が複数存在する」と認定されたことから、これらの証拠に基づいて各共通部分がありふれた表現であると判断され、各共通点が創作的表現であるとはいえないため侵害が否定されている。
一方、西瓜写真事件の控訴審判決では、「本件写真の素材自体は、西瓜(切ったもの、丸のままのもの)、西瓜の蔓、ブロック状の氷、籐の籠、背景としての青であって、日常生活の中によく見られるありふれたものばかりであることが明らかである。しかし、その構図、すなわち、素材の選択、組合せ及び配置は、全体的に観察すると、西瓜を主題(モチーフ)として、人為的に、夏の青空の下でのみずみずしい西瓜を演出しようとする、作者の思想又は感情が表れているものであり、この思想又は感情の下で、前記のありふれた多数の素材を、本件写真にあるとおりの組合せ及び配置として一体のものとしてまとめているものと認められる。・・・被控訴人Bは、こうした配置は、写真家であれば誰でも思いつく定石の範囲を超えるものではない旨主張する。しかしながら、被控訴人Bは、上記主張を裏付けるための何らの立証をもしていない。もし、本件写真がありふれたものであるならば、本件写真のような素材を選択し、配置した写真、西瓜の背景としてグラデーション用紙を利用した写真等を、証拠として提出できるはずである。しかし、そのような作品は、証拠として全く提出されていない。」と判示し、侵害を認めている。
両判決を比較すると、被写体の選択・組合せ・配置等について創作性を否定するためには、それらが料理写真等の分野において一般的・定型的な表現であることを示す具体的な証拠の有無が重要な意味を持つことがうかがわれる。本件では多数の類似写真や撮影手法に関する証拠を参照しながら各共通点がありふれた表現であると認定しており、そのことが創作性否定の判断に大きく影響したものと考えられる。
