【住宅地図の著作物性及び法人著作の成立が認められ、ポスティング業務用地図の大量複製につき高額損害賠償が認められた事例】

 

投稿日:2026年6月9日

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著者:弁護士 大野 浩之
*本記事は、筆者の個人的見解であり、当事務所を含め、筆者が所属する如何なる団体の見解も表示するものではありません。
*判決等に筆者が適宜下線や太字強調等を付している場合があります。


参照条文/キーワード/論点

地図の著作物性

ポイント

※裁判所は、住宅地図について、「記載すべき情報の取捨選択及びその表示方法」を総合考慮して著作物性を判断するという従来の規範を維持しつつ、本件住宅地図の著作物性を認めた。
※被告らによる、住宅地図の複写・切り貼り・書込みによるポスティング用地図の作成及びその複製等について、複製権侵害等を認めた。  

 

判決概要

裁判所 東京地方裁判所民事第29部
判決言渡日 令和4年5月27日
事件番号 令和元年(ワ)第26366号
事件名 著作権侵害差止等請求事件
裁判長裁判官
裁判官
裁判官
國分 隆文
小川 暁
矢野 紀夫
 

判決へのリンク(裁判所HPへ)

事案の概要

 本件は、原告が、被告らに対し、原告の作成及び販売に係る住宅地図を複写し、これを切り貼りするなどしてポスティング業務を行うための地図を作成し、同地図を更に複写したり、譲渡又は貸与により公衆に提供したり、同地図の画像データを被告会社が管理運営するウェブサイトに掲載したりすることによって、原告の著作権を侵害したと主張して、以下の請求をする事案である。

第1 前提事実
 被告Aは、被告会社が設立される前の平成12年1月11日まで、別紙配布地域等目録の番号2及び8の「開店時期」欄記載の各開店時期(以下、同目録の「開店時期」欄記載の開店時期を、同目録の番号に従い、「開店時期1」、「開店時期2」などという。)に、「配布地域」欄記載の各配布地域(以下、同目録の「配布地域」欄記載の配布地域を、同目録の番号に従い、「配布地域1」、「配布地域2」などという。)を担当する「店舗名」欄記載の各名称の店舗(以下、同目録の「店舗名」欄記載の店舗を、同目録の番号に従い、「店舗1」、「店舗2」などという。)を運営して、ポスティング業務を行っていた。
 そして、被告会社は、設立された平成12年1月12日以降、開店時期1ないし11に、配布地域1ないし11を担当する店舗1ないし11をそれぞれ運営して、ポスティング業務を行っていた。
 被告会社とフランチャイズ契約を行った被告フランチャイジーもまた、ポスティング業務を行っていた。

 被告らは、各家庭に広告物を配布するポスティング業務を行うために、ゼンリン住宅地図を含む住宅地図を購入し、これを適宜縮小して複写し、配布員がポスティングを行う領域である配布エリアごとに、複写した複数枚を切り貼りした上、集合住宅名、ポストの数、配布数、交差点名、道路の状況、配布禁止宅等のポスティング業務に必要な情報を書き込むなどした地図(以下「ポスティング用地図」という。)の原図を作成した。被告らは、ポスティング用地図の原図を複写して配布員に渡し、当該配布員は、この原図を複写したものを使用して、ポスティングを行った。
 被告らは、配布可能部数、空き家・廃屋の別、新築物件、新たに設置された道、家屋の入り口やポストの位置等の情報を更に得たときは、随時、ポスティング用地図の原図にこれらの情報を書き加えた上、この原図を複写して配布員に渡していた。

 被告会社は、遅くとも平成28年2月8日までに、被告ウェブサイト内の店舗8に係るウェブページ上に、被告地図8の一部である地図1枚の画像データを掲載した(甲13)。また、被告会社は、遅くとも平成29年9月4日までに、同店舗11に係る各ウェブページ上に、被告地図11の一部である地図3枚の各画像データを掲載した(甲9)。

 さらに、被告会社は、遅くとも令和元年5月23日までに、被告ウェブサイト内の店舗14に係るウェブページ上に、原告地図14のうち目的とする地図を検索するための広域地図を複写し、これに書き込みをしたものの画像データを掲載した。
 

判旨

1 争点1(原告各地図の著作物性)について
 一般に、地図は、地形や土地の利用状況等の地球上の現象を所定の記号によって、客観的に表現するものであるから、個性的表現の余地が少なく、文学、音楽、造形美術上の著作に比して、著作権による保護を受ける範囲が狭いのが通例である。しかし、地図において記載すべき情報の取捨選択及びその表示の方法に関しては、地図作成者の個性、学識、経験等が重要な役割を果たし得るものであるから、なおそこに創作性が表れ得るものということができる。そこで、地図の著作物性は、記載すべき情報の取捨選択及びその表示の方法を総合して判断すべきものである。

 本件改訂により発行された原告各地図は、都市計画図等を基にしつつ、原告がそれまでに作成していた住宅地図における情報を記載し、調査員が現地を訪れて家形枠の形状等を調査して得た情報を書き加えるなどし、住宅地図として完成させたものであり、目的の地図を容易に検索することができる工夫がされ、イラストを用いることにより、施設がわかりやすく表示されたり、道路等の名称や建物の居住者名、住居表示等が記載されたり、建物等を真上から見たときの形を表す枠線である家形枠が記載されたりするなど、長年にわたり、住宅地図を作成販売してきた原告において、住宅地図に必要と考える情報を取捨選択し、より見やすいと考える方法により表示したものということができる。したがって、本件改訂により発行された原告各地図は、作成者の思想又は感情が創作的に表現されたもの(著作権法2条1項)と評価することができるから、地図の著作物(著作権法10条1項6号)であると認めるのが相当である。

 被告らは、〈1〉 地図に著作物性が認められる場合は一般的に狭く、住宅地図は他の地図と比較して著作物性が認められる場合が更に制限される、〈2〉 原告各地図は、江戸時代の古地図や既存の地図、都市計画図に依拠して作成されたものであり、創作性が発揮される余地は乏しい、〈3〉 原告各地図は機械的に作成され、正確・精密であるとされることからすると、創作性が発揮される部分は更に限定され、国土地理院は、2500分の1の縮尺の都市計画基本図について、著作物性が認められる可能性は低いとの見解を示している、〈4〉 過去に作成された住宅地図には家形枠が記載されたものがあり、家形枠を用いた表現自体ありふれている、〈5〉 原告は地図作成業務のうち少なくとも6割を海外の会社に対して発注しており、原告各地図には独自性がないとして、原告各地図には著作物性が認められないと主張する。
 しかし、上記〈1〉については、前記(1)のとおり、地図の著作物性は、記載すべき情報の取捨選択及びその表示の方法を総合して判断すべきものであるところ、前記(4)のとおり、原告各地図は、その作成方法、内容等に照らして、作成者の個性が発現したものであって、その思想又は感情を創作的に表現したものと評価できるから、地図の著作物であると認められる。
 上記〈2〉については、原告が古地図や都市計画図等を参照して原告各地図を作成したものであったとしても、前記(2)アのとおり、原告各地図は、本件改訂によって、都市計画図等をデータ化したものに、居住者名や建物名、地形情報、調査員が現地を訪れて調査した家形枠の形状等を書き加えるなどして作成されたものであり、その結果、前記(2)イの特徴を備えるに至ったものであって、このような原告各地図の作成方法、特徴等に照らせば、原告各地図は、都市計画図等に新たな創作的表現が付加されたものとして、著作物性を有していると認められる。
 上記〈3〉については、原告各地図が正確・精密であるとしても、前記(1)のとおり、記載すべき情報の取捨選択及びその表示の方法等において創作性を発揮する余地はある。また、被告らの指摘する国土地理院の見解(乙63)は、都市計画基本図について述べたものであり、住宅地図作成会社が作成する住宅地図一般について述べたものではないし、上記〈2〉について説示したとおり、原告各地図は、都市計画図等を基図としてデータ化した上、これに種々の情報を書き加えるなどすることで、住宅地図として完成させたものであるから、国土地理院の上記見解は原告各地図に当てはまるものではない。さらに、前記(2)イのとおり、原告各地図は、地図の4辺に目盛りが振られ、当該地図の上、右上、右、右下、下、左下、左及び左上の各位置にある地図の番号が記載されており、目的とする地図を検索しやすいものとなっている上、信号機やバス停等がイラストを用いてわかりやすく表示されたり、建物等の居住者名や店舗名等を記載することにより住居表示についてもわかりやすくする工夫がされているなどの特徴を有するのに対し、証拠(乙70ないし73)によれば、都市計画基本図にはこのような特徴が全くないことが認められ、原告各地図と都市計画基本図とでは、そもそも性質が異なることから、同列に論じることはできない。
 上記〈4〉については、住宅地図において家形枠を記載することがよくあるとしても、原告各地図における家形枠の具体的な表現がありふれていることを認めるに足りる証拠はないから、直ちに原告各地図の著作物性を否定することはできないというべきである。
 上記〈5〉については、原告が原告各地図の作成業務を海外の会社に発注していることのみをもって、原告各地図の独自性を否定し、ひいては、その著作物性を否定することはできないというべきである。

2 争点2(原告各地図の著作者)について
 原告は、日本全国の地図情報を調査し、住宅地図であるゼンリン住宅地図を作成して販売することを業としており、原告各地図は、ゼンリン住宅地図のうち配布地域1ないし24に係るものとして作成されたものである。
 原告は、〈1〉 第三者に対し、ゼンリン住宅地図を作成するために、居住者名や番地、詳細な家形枠等の現地調査の業務を委託する場合があること、〈2〉 同業務の受託者に対し、調査を行うに当たっての注意事項をまとめた調査マニュアルを交付し、原告が支給した制服を着用させ、原告の社員証又は調査員証の携帯を義務付けるとともに、番地、名称、地形、地物、交通情報、建物、ビル、マンション等により定めた記載方法に従って、調査結果を調査原稿に記載するよう指示していること、〈3〉 同業務を原告の従業員に対して行わせることもあるが、調査方法は第三者に業務を委託する場合と異なるところはないことが認められる。これらの〈1〉ないし〈3〉の事情を総合すれば、上記受託者及び従業員による調査及びその結果の原告各地図への記載は、原告の指揮監督の下、原告における職務の遂行として行ったものと認めるのが相当である。
 原告各地図の表紙又はパッケージには原告の会社名が記載され、その末尾又はパッケージに「「ゼンリン住宅地図」(「本商品」)は当社の著作物であり、著作権法により保護されています。」と記載されていることが認められる。このような記載に照らせば、原告は、自己の著作の名義の下に、原告各地図を公表したと認めるのが相当である。
 したがって、原告各地図は、原告の発意に基づき、原告の業務に従事する従業員及び業務受託者がその職務上作成したものであり、原告が自己の著作の名義の下に公表したものであるから、著作権法15条1項により、原告各地図の著作者は原告であると認められる。

 これに対して、被告らは、〈1〉 原告各地図における地図の記載方法は原告以外の他社によって示されてきたものであるから、原告による新たな創作への発意は認められない、〈2〉 原告と調査員との間の雇用契約や勤務規則の内容によっては、原告が原告各地図の著作者とならない可能性が否定できないし、調査業務委託基本契約書(甲124)には、業務の遂行過程に関する規定はないから、原告が外部業者に対して指揮監督する立場にあることが否定される上、同契約書には著作権の譲渡に関する規定もない、〈3〉 原告各地図に著作物性が認められるためには、家形枠の記載等において調査員の個性が表れている必要があり、そうだとすると、原告と調査員との間で著作権譲渡に関する契約が締結されなければ、原告が原告各地図に係る著作権を主張することはできない、〈4〉 原告各地図の表紙には原告の会社名が作成者又は著作者として記載されておらず、原告が自己の著作の名義の下に原告各地図を公表したとはいえないと主張する。
 しかし、上記〈1〉については、前記(1)のとおり、原告は、日本全国の地図情報を調査し、住宅地図であるゼンリン住宅地図を作成して販売することを業とし、そのゼンリン住宅地図のうち配布地域1ないし24に係るものとして原告各地図を作成したものであるから、原告各地図が原告の意思に基づき作成されたものであることは明らかである。
 上記〈2〉については、前記前提事実(1)アのとおり、原告が、日本全国の地図情報を調査し、住宅地図であるゼンリン住宅地図を作成して販売することを業としていることからすると、原告と調査員との間の雇用契約や勤務規則に、原告各地図の著作者に関する別段の定めはないと認めるのが相当であり、この認定を覆すに足りる証拠はない。また、調査業務委託基本契約書において、原告の受託者に対する指揮監督に関する規定がなかったとしても、前記(1)のとおり、当該受託者は原告の指揮監督下にあったということができるし、同契約書に著作権の譲渡に関する規定がないことは、著作権法15条1項の要件とは関係がない。
 上記〈3〉について、著作権法15条1項は、所定の要件を満たす場合に、法人等が著作者となることを定めたものであるから、原告が原告各地図に係る著作権を主張するために、原告と調査員との間で著作権譲渡に関する契約が締結される必要があるとは解されず、独自の見解であるといわざるを得ない。
 上記〈4〉について、原告各地図の表紙等に原告の会社名が記載され、その末尾等に「「ゼンリン住宅地図」(「本商品」)は当社の著作物であり、著作権法により保護されています。」と記載されていることに基づき、原告が自己の著作の名義の下に原告各地図を公表したといえることは、前記(1)で説示したとおりである。
 以上のとおり、被告らの上記各主張はいずれも採用することができない。

3 争点11(損害額)について
 原告は、自動車保管場所証明申請や建築確認申請等にゼンリン住宅地図の写しを添付する際に貼付するものとして、ゼンリン住宅地図を複製することを許諾したことを証する複製許諾証を販売していること、複製許諾証は、1申請又は1届出につき1枚貼付するものとし、1枚200円(税抜き)で販売されていること、原告は、ゼンリン住宅地図のうち任意の部分をダウンロードし、これを自宅でプリントアウトすることができる「ゼンリン住宅地図出力サービス」を行っており、1500分の1の縮尺でA3、B4又はA4サイズの住宅地図を1枚550円(税込み。複製許諾付きのもので1枚770円(税込み)。)で販売していること、原告は、ゼンリン住宅地図のうち任意の部分をコンビニエンスストアでプリントアウトすることができる「ゼンリン住宅地図プリントサービス」を行っており、1500分の1の縮尺でA3サイズの住宅地図を1枚400円(税込み)で販売していることが認められる。
 上記認定事実に基づいて原告が受けるべき金銭の額に相当する額を検討するに、複製許諾証は、1申請又は1届出につき1枚貼付するものとされているものの、見開きの片側1頁を複製するごとに1枚貼付することを要するのか、見開きの左右2頁を複製したとしても1枚貼付することで足りるのかは明らかでないため、これのみに基づいて額を算定することはできないが、「ゼンリン住宅地図出力サービス」及び「ゼンリン住宅地図プリントサービス」では、ゼンリン住宅地図の見開きの左右2頁と同じかこれより狭い任意の部分を1枚550円又は400円で販売していること等に加え、本件訴訟に現れた全ての事情を考慮すると、原告各地図の著作権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額につき、1頁当たり200円と認めるのが相当である
 これに対して、被告らは、〈1〉 公益社団法人日本複製権センターは組織内での利用を目的とした複写に係る使用料を1頁当たり4円と定め、一般社団法人学術著作権協会は内部利用目的の基本複製使用料を1頁当たり2円と定めている、〈2〉 原告を含む日本の主要地図業者6社のうち3社は被告会社が同3社の販売する地図を複製することにつき追加の許諾料を求めていない、〈3〉 原告の販売する複製許諾証の価格は公開されておらず、ポスティング業界に対して示されたこともない、〈4〉 被告らは社内利用としてポスティング用地図を作成するために原告各地図を複製したものであるから、行政庁に対する許認可申請や届出等のための複製ではなく、複製許諾証が必要とされる場合に当たらないと主張する。
 しかし、上記〈1〉について、著作権法114条3項の「著作権…の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額」とは、当該著作権の実際の使用許諾契約における使用料等を考慮して認定すべきであると解されるところ、原告は、前記前提事実(1)アのとおり、日本全国の地図情報を調査した上、紙媒体である「ゼンリン住宅地図」や電子地図ソフトウェアである「電子住宅地図デジタウン」を作成販売し、前記(1)のとおり、ゼンリン住宅地図を複製することを許諾したことを証する複製許諾証を1枚200円で販売し、ゼンリン住宅地図のうち任意の部分を「ゼンリン住宅地図出力サービス」又は「ゼンリン住宅地図プリントサービス」として1枚550円又は400円で販売しているものであり、本来、原告から原告各地図を複製することの許諾を得るためにはこれらの料金を支払う必要があった。他方で、公益社団法人日本複製権センターや一般社団法人学術著作権協会が定めた複製に係る使用料は、原告が定める上記料金と比較して極めて低廉であるばかりか、同使用料は両法人が管理する著作物について適用されるものであるところ、両法人が原告各地図を管理していることを認めるに足りる証拠はない。そうすると、両法人が定めた上記使用料を採用することが相当であるとはいえない。
 上記〈2〉について、原告における原告各地図に係る使用許諾の実績は前記(1)のとおりであり、上記〈1〉について説示したとおり、この実績は、原告自身が受けるべき金銭の額に相当する額を算定する上で、当然に重視されるべき事情であるから、他の業者の価格設定の存在により、この事情が直ちに考慮できなくなると解することはできない
 上記〈3〉について、原告は、平成14年10月21日から、1枚200円で複製許諾証の販売を開始し、これ以前は、1申請当たり1200円で個別に複製の許諾を行っていたことが認められるから、複製許諾証の価格は公開されており、ポスティング業界を含め、一般的にこれを知り得たというべきである。
 上記〈4〉について、前記3のとおり、被告会社は、自らの事業であるポスティング業務を行うために、原告各地図を複製し、被告各地図を作成していたものであり、それ自体は原告が想定する複製許諾証の利用目的には該当しないとしても、前記(1)で説示したとおり、原告が受けるべき金銭の額に相当する額を算定するに当たって、考慮すべき一事情となり得ることが否定されるものではない。
 したがって、被告らの上記各主張はいずれも採用することができない。

 被告会社は、別紙本件改訂時期等一覧表記載のとおり、原告各地図を合計96万9801頁複製したものである。そして、前記(1)のとおり、原告各地図の著作権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額は1頁当たり200円と認められるので、原告は、被告会社の著作権侵害行為により、1億9396万0200円の損害を被ったと認められる。
 そして、被告会社の不法行為と相当因果関係の認められる弁護士費用相当額は、1900万円と認めるのが相当である。
 したがって、原告に生じた損害額の合計は2億1296万0200円である。

 

解説/検討

 本件では、原告住宅地図について、裁判所が「住宅地図に必要と考える情報を取捨選択し、より見やすいと考える方法により表示したもの」であるとして、著作物性を肯定した。
 住宅地図については、現実の地形や建物配置を正確に反映する必要があるため、表現上の自由度が限定されることは否定できない。しかし、本判決は、正確性・実用性が求められる著作物であっても、情報の選択や表示方法に創作性が現れ得ることを改めて確認したものといえる。
 地図に関して著作権による保護を受ける範囲が狭いとはいえ、本件では印刷したものを直接利用しているのであるから、著作権侵害が認められるというのは妥当なものであると考える。
 また「被告会社は、被告フランチャイジーに対し、被告地図12ないし16の各原図を送付し、また、第三者に対し、被告地図17ないし24の各原図を販売した」とされており、販売行為まで行っていたことは悪質であると思われる。

 

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