【被告が、アマゾンジャパン合同会社に対して、オンラインフォームから、同社の運営するインターネットショッピングサイトに開設された原告サイトに掲載された商品画像等について「著作権侵害」を選択して申告した行為が不正競争防止法(不競法)2条1項21号の不正競争行為に該当すると判断された事例】
投稿日:2026年5月14日 |
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著者:弁護士 木村 広行
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参照条文/キーワード/論点 |
不競法2条1項21号、4条/著作権法2条、10条1項8号/民法709条/虚偽の事実を告知/写真の著作物/著作物性 |
ポイント
※被告サイトに掲載されていた商品に係る被告各画像のうち、写真集又は卓上カレンダーに係る画像は、販売する商品がどのようなものかを紹介するために、平面的な商品を、できるだけ忠実に再現することを目的として正面から撮影された商品全体の画像であり商品の自体を忠実に反映・再現したものにすぎないとして、著作物性を否定した。 |
判決概要 |
| 裁判所 | 大阪地方裁判所第26民事部 |
| 判決言渡日 | 令和5年5月11日 |
| 事件番号 | 令和3年(ワ)第11472号 |
| 事件名 | 損害賠償請求事件 |
| 裁判長裁判官
裁判官 裁判官 |
松阿彌 隆
杉浦 一輝 布目 真利子 |
事案の概要
1.事実関係(判決において認定された前提事実)
⑴当事者
原告は、原告サイトにおいて、「韓流BANK」の屋号を用いて、韓国の芸能人に係る商品等を販売している。
被告は、アマゾンサイト上に開設している仮想店舗(以下「被告サイト」という。)において、「P1」の屋号を用いて、韓国の芸能人に係る商品等を販売している。
⑵原告及び被告の販売行為
ア 原告は、原告サイトにおいて、別紙表記載の各商品(符号に従い「本件商品1」などといい、併せて「本件各商品」という。)を、遅くとも同表の各「出品停止日」欄記載の日以前から、本件各商品に係る画像(以下「原告各画像」という。)を付した上で、販売していた。
イ 被告は、同じ頃、被告サイトにおいて、本件各商品を販売していた。被告は、被告サイトにおいて、本件各商品に係る画像として、別紙表の各「対応する被告画像」欄記載の証拠番号の画像(以下符号に従い「被告画像1」などといい、併せて「被告各画像」という。)を掲載していた(弁論の全趣旨)。
⑶被告の行為等
ア アマゾンサイトでは、アマゾンサイト上で販売されている商品等に知的財産権を侵害する内容が含まれている場合、当該知的財産権の権利所有者が、アマゾンに対し、権利侵害の申告をすることができる。例えば、権利者は、著作権に関して、出品者が出品する商品並びに商品詳細ページに掲載されている画像及び文章等に権利者の著作物が許諾無く使用されている場合、アマゾンサイトにおいて「ASIN」(識別番号)によって特定される当該出品者の商品詳細ページ全体を著作権侵害として、ASIN単位で権利侵害申告をすることができる(以上につき甲1、弁論の全趣旨)。
イ 被告は、遅くとも別紙表の各「出品停止日」欄記載の日までに、10回にわたり、アマゾンサイトのオンラインフォームから、アマゾンに対し、原告サイトに係る別紙表の各「ASIN」欄記載の番号、原告各画像、商品名等を特定し、侵害の種類として著作権侵害を選択した上で、権利侵害の申告(以下別紙表の符号に従い「本件申告1」などといい、併せて「本件各申告」という。)を行った(甲2~10の各1、3の2、乙2、28、弁論の全趣旨)。
⑷商品詳細ページの削除等
原告の扱う本件各商品は、本件各申告により、別紙表の各「出品停止日」から「出品再開日」までの各期間において、アマゾンサイト上での出品が停止された(甲2~10)。
争点
本件各申告が虚偽事実の告知(不競法2条1項21号)又は不法行為に該当するか(その他の争点は省略)
判旨
1 争点1(本件各申告が虚偽事実の告知又は不法行為に該当するか)について
(1)被告サイトについて
ア 被告各画像について
写真集又は卓上カレンダーに係る画像である被告画像1、2、4ないし10は、商品の表紙、裏表紙又は商品中の写真それ自体といって差し支えない画像であり、仮に被告がこれらの画像を自ら撮影した場合には、被写体である芸能人を撮影した写真を中心とし、出版元が付した商品名及びその他の商品の情報等が掲載された平面的な写真集の表紙等を、真正面から、掲載写真を含む当該表紙等全体を正確に表現する方法で撮影したものであると認められる。
単語帳に係る画像である被告画像3は、単語帳の表紙及びいずれか一枚に掲載されている写真それ自体といって差し支えない画像を縦2枚に並べ、その下段側の画像の右横に、当該画像の右端に少しかかる状態で、単語帳を扇型に広げた状態のものを撮影した画像を配置したものである。
(以上につき甲13~17の各枝番1、甲18の1~甲20の1の各枝番2、乙15~24、弁論の全趣旨)
被告は、指定役務を写真集の小売又は卸売の業等とする「P2」(標準文字)なる商標(以下「被告商標」という場合がある。)に係る商標権を有しているところ、被告各画像には、「P2」との文字が極小さく掲載されている。(乙1、15~24、弁論の全趣旨)。
なお、被告は、本件各商品の制作に携わっておらず(争いがない。)、これらの商品自体について何らの権利も有しない。
イ 商品名について
本件申告当時、被告サイトにおいては、本件各商品に係る商品名として、次のとおり掲載されていた。
・・・
(2)原告サイトについて
ア 原告各画像について
証拠(甲18の2の2、19の2の2、20の2の2、乙20~22)並びに原告自身が被告各画像自体を盗用したものではないことを前提とした上で被告各画像と原告各画像が画像として異なるものであるとは主張していないこと、本件各申告に基づきアマゾンにおいて出品停止の措置が採られていること及び弁論の全趣旨に照らせば、本件各申告当時に原告サイトに掲載されていた本件各商品に係る画像(原告各画像)は、画像としては被告各画像とほぼ同一であったと認められる。
イ 原告サイトにおいて本件各商品の商品名として掲載されたもののうち、本件商品2は・・・、本件商品6は・・・、本件商品8は・・・、本件商品9は・・・、本件商品10は・・・であったと認められるが、その余のものは不明である(甲3の1、6の1、8の1、9の1、10の1)。
(3)本件各申告の内容・態様等
ア 被告は、令和3年7月初旬頃、アマゾンに対し、被告サイトの商品ページと原告サイトの商品ページが重複している旨並びに原告サイトにおいて被告サイト上の商品画像、商品名及び商品の説明文が盗用されている旨を申告した。
これに対しアマゾンは、同月11日、被告に対し、知的財産侵害の通知は、アマゾンブランド登録又は侵害通知用のオンラインフォームから送る必要があること、別のアマゾンストアに出品されているASINを報告する場合は、報告対象のASINが出品されているアマゾンストアにある侵害の通知フォームを利用する必要があること等を教示した上で、いずれかの方法で侵害の通知を再度提出してアマゾンで申立てを処理できるように協力して欲しい旨を連絡した。
(以上につき乙27の1、弁論の全趣旨)
イ 被告は、前記アのアマゾンからの連絡を受け、同月17日までに、アマゾンブランド登録又は侵害通知用のオンラインフォームから、本件申告1を行った。
当該ブランド登録又は侵害通知用のオンラインフォームには、「権利侵害を申告する」という表題のほか、「このフォームは、知的財産権の権利者またはその代理人が、知的財産権を侵害されたと思われる場合に、その旨をAmazonに申告するためのものです。その他の規約違反や不正行為を報告するには、お問い合わせを使用してください。」と記載されている。
被告は、本件申告1に際し、「著作権侵害」、「意匠権の侵害」、「特許の侵害」、「商標権侵害」の選択肢のうち「著作権侵害」を選択し、当該フォームの検索機能等を使用して、本件商品1に係る商品詳細ページのASIN、申告対象とする画像、商品名、商品のブランド名等を選択・記載し、「著作物の登録番号」、「著作権のある商品/著作物を提示するサイトへのリンク」、「著作権があることの説明」のうち、「著作権のある商品/著作物を提示するサイトへのリンク」を選択し、対応する被告サイトのURLを記載したほか、詳細を書き込む欄に、被告が作成したカタログの商品画像、商品名を盗用して、別のカタログを作成している旨を記載した。(以上につき甲2の1、乙2、28、弁論の全趣旨)
ウ アマゾンは、本件申告1を受け、原告サイト上の本件商品1に係る商品詳細ページを削除する等によりその出品を停止し、原告に対し、同日、原告が出品した商品に関連した商品詳細ページについて著作権侵害であるとの報告が届いたこと、該当するASINの番号、出品を再開するためには申告した権利者の著作権を侵害することがないよう商品詳細ページを訂正する必要があること、出品情報が誤って削除されたと思う場合はアマゾンに対して必要書類を提出すること、権利者が誤って通知を送信したと考えられる場合は権利者に連絡して通知取り下げの申請を依頼すること、本件申告1の際に被告がアマゾンに通知した被告のメールアドレス等を通知した(甲2の1)。
エ 被告は、遅くとも同月23日までに、アマゾンに対し、概ね本件申告1と同様の方法で、本件申告2を行った(甲3の1、乙3)。
オ 原告は、同月23日、被告に対し、被告より著作権侵害の申し立てを受けアマゾンサイトにおける商品出品が停止されたこと、原告は韓国の制作会社より正規ルートで輸入し販売していること、どのような点で侵害という判断をしたのか理由を聞きたいこと等を記載したメールを送信した(甲37の1)。
カ 被告は、遅くとも同年8月5日から同月11日までに、アマゾンに対し、概ね本件申告1と同様の方法で、本件申告3ないし5を行った(甲3の2、甲4の1、5の1、乙4~6)。
キ 原告は、同月16日、被告に対し、被告から著作権侵害の申し立てを受け改善策を講じているが、どの点について侵害という判断になったのかがわからず困っていること、被告が所有している著作権の題号又は商標を教えて欲しいこと等を記載したメールを送信した(甲37の2)。
原告は、本件の訴訟代理人に委任の上、同代理人名義で、同月25日、被告に対し、本件申告1ないし5等について、当該申告に係る商品は、韓国の出版社又はメーカーが作成して販売しているものであり、これらについて被告が著作権を有していないこと、これらの商品をありのまま撮影しただけの商品写真及び当該商品の形状、サイズ又は特徴等を表したにすぎない創作性のない説明文についても被告が著作権を有していないことが明らかであること、被告各画像には「P2」の文字が掲載表示されているが、原告を含む競業他社が同じ商品をアマゾンサイトで販売するに際して独自に撮影した商品写真を使用する場合、当該商品写真に「P2」の文字を付さない限り被告の商標権の侵害が生じ得ないこと、原告は被告の権利を侵害していないことから速やかに本件申告1から5等に係る申告を取り下げてほしいこと、原告が被告の権利を侵害していないことが明らかになった場合には、被告のアマゾンに対する権利侵害申告は不法行為に該当するとともに不正競争行為(不競法2条1項21号)に該当すると考えられるため、被告の行為によって被った損害の賠償を請求するつもりであること等を記載した通知書(本件通知書)を内容証明郵便にて送付し、被告は同月26日にこれを受領した(甲11)。
ク 被告は、同月26日又は27日、アマゾンに対し、本件通知書に対する対応を尋ねる旨の問合せを行った。これに対しアマゾンは、同日、被告から権利侵害の報告を受けアマゾンによる調査後商品削除の処理が行われており、被告の対応が適切となっているので安心してほしい旨、相手方に対してアマゾンによる対応方針に沿った対応をするよう案内して欲しい旨、本件に関してアマゾンにて対応できかねる旨等を記載したメールを返信した。
被告は、前記の原告からの各メールに返信をせず、本件通知書を受領した後も、遅くとも同月28日から同年10月24日までの間、概ね本件申告1と同様の方法で、本件申告6ないし10を行った(甲6~10の各1、乙7~11)。
ケ 原告は、本件各申告により原告サイト上の本件各商品の出品が停止されたことに対し、遅くとも別紙表の各「出品再開日」までにアマゾンに対する再開の申立て等を行い、当該各日までに原告サイト上の出品が再開された。
(4)検討
ア 本件各申告の趣旨等
本件各申告の内容及び態様並びにこれに対するアマゾンの対応(前記(3)イからエ、カ、ク)に照らせば、被告は、アマゾンに対して、原告サイト上の原告各画像及び商品名が、被告サイト上の被告各画像及び商品名を盗用したものであること、及び当該行為が著作権侵害に該当することを理由として、権利侵害の申告(本件各申告)をしたと認められる。
イ 被告各画像等の著作物性
(ア)前記(1)アのとおり、被告各画像のうち、写真集又は卓上カレンダーに係る画像である被告画像1、2及び4ないし10は、販売する商品がどのようなものかを紹介するために、平面的な商品を、できるだけ忠実に再現することを目的として正面から撮影された商品全体の画像である。被告は、商品の状態が視覚的に伝わるようほぼ真上から撮影し、商品の状態を的確に伝え、需要者の購買意欲を促進するという観点から被告が独自に工夫を凝らしているなどと主張するが、具体的なその工夫の痕跡は看取できない上、撮影の結果として当該各画像に表現されているものは、写真集等という本件各商品の性質や、正確に商品の態様を購入希望者に伝達するという役割に照らして、商品の写真自体(ないしそれ自体は別途著作物である写真集のコンテンツとしての写真)をより忠実に反映・再現したものにすぎない。
(イ)単語帳に係る画像である被告画像3は、前記同様に商品をできるだけ忠実に再現することを目的として正面から撮影された商品全体を撮影した平面的な画像2点と、扇型に広げた商品の画像1点を配置したものであり、当該配置・構図・カメラアングル等は同種の商品を紹介する画像としてありふれたものであるといえ、被告独自のものとはいえない。
(ウ)以上より、被告各画像は、被告自身の思想又は感情を創作的に表現したものとはいえず、著作物とは認められない。
(エ)また、商品名については、前記(1)イのとおり、いずれも商品自体に付された商品名をそのまま使用するか、欧文字をカタカナ表記に変更したり、大文字表記を小文字表記にしたり、単に商品の内容を一般的に説明したにとどまるありふれたものであって、著作物とは認められない。
そのほか、被告は、本件各申告には被告サイト上の商品の説明文に関する著作権侵害も含まれるかのように主張するが、具体性を欠く上、その説明が創作性を有するとは想定できず、失当である。
ウ 被告各画像等の使用の事実の有無
(ア)前記イのとおり、被告各画像等についていずれも著作物とは認められない以上、仮に原告が原告サイトにおいて被告各画像等を使用したとしても、著作権侵害は成立しない。
その点を措くとしても、原告が、アマゾンから出品停止の連絡を受けた後、被告に対して2度にわたり原告サイトについて著作権侵害と判断した理由等を尋ねる旨のメールを送信するとともに、原告訴訟代理人に委任の上で本件通知書を送付していること、本件通知書には、原告を含む競業他社が同一商品を独自に撮影した商品写真を使用する場合には被告商標を付さない限り被告の商標権を侵害しない旨記載されていること(前記(3)オ、キ)、少なくとも本件商品2、6及び8ないし10の商品名は原告サイトと被告サイトとで異なること(前記(1)イ、(2)イ)、そのほか原告各画像が被告各画像それ自体であることを的確に示す証拠が存しないこと等の事情に照らせば、原告が原告サイトに掲載していた原告各画像は、被告各画像を盗用したものではなかったと認めるのが相当である。
・・・
エ 被告の故意過失・違法性
前記(1)ア及びイのとおり、被告は、アマゾンから、権利侵害の申告に係る手続について、知的財産権の侵害を理由とする場合の通知方法、ASINの重複を理由とする場合の通知方法及びそれぞれ個別に申告することが必要であるとのメールを受信し、自らASINの重複を申告する方法ではなく知的財産権の侵害を理由とする場合の方法を選択し、申告に係る原告各画像等を特定し、「著作権侵害」の項目を選択の上で本件各申告を行っている。このような被告の行動に照らせば、被告は、アマゾンに対して自ら積極的に著作権侵害の虚偽事実を申告したといえ、被告が本件各申告をするにつき、少なくとも過失が認められ、本件各申告は違法である。
被告は、権利行使の一貫として本件各申告を行い、やむを得ず著作権侵害という選択肢を選んだにすぎないこと、著作物性の判断を正確に行った上で申告することが求められるとすれば権利行使を不必要に委縮させる等と主張するが、被告に本件各商品に関する知的所有権がないことは自明である上、原告からの問合せに対応することなく本件各申告を続けたとの事実関係のもとでは、採用の限りでない。
オ 小括
以上のとおり、本件各申告は、原告各画像が被告各画像等を無断で使用していることを理由とする原告による著作権侵害をアマゾンに伝える趣旨の権利侵害の申告である一方、被告各画像について被告が著作権を有さず、また原告が被告各画像を無断で使用したとも言えないことから、その内容は、いずれも、被告と競争関係にある原告の営業上の信用を害する虚偽の事実を申告する行為であり、不競法2条1項21号の不正競争行為に該当するといえる。また、被告には少なくとも過失が認められる。
なお、被告は、本件各申告が単に画像の盗用の事実のみを申告するものであり、著作権侵害の事実を申告するものではないことから「虚偽の事実」を申告したとはいえないと主張する。しかし、本件各申告の趣旨が著作権侵害の申告であると認められることは前記アのとおりであり、この点を措くとしても、原告が被告各画像を無断で使用、すなわち盗用したとは言えず、当該事実(盗用)の告知の点のみをもっても、被告の申告行為は、原告の営業上の信用を害する虚偽事実の告知であるといえることに変わりはない。よって、この点に係る被告の主張は採用できない。
解説/検討
本判決は、商品を紹介するための写真の著作物性を否定したものである。
この点、知財高判平成18年3月29日・平成17年(ネ)第10094号では、「本件各写真は,ホームページで商品を紹介するための手段として撮影されたものであり,同じタイプの商品を撮影した他の写真と比べて,殊更に商品の高級感を醸し出す等の特異な印象を与えるものではなく,むしろ商品を紹介する写真として平凡な印象を与えるものであるとの見方もあり得る。しかし,本件各写真については,前記認定のとおり,被写体の組合せ・配置,構図・カメラアングル,光線・陰影,背景等にそれなりの独自性が表れているのであるから,創作性の存在を肯定することができ,著作物性はあるものというべきである。他方,上記判示から明らかなように,その創作性の程度は極めて低いものであって,著作物性を肯定し得る限界事例に近いものといわざるを得ない。」と判断されており、商品を紹介するための写真であるからといって直ちに著作物性が否定されるわけではないと解されるものの、その判断は必ずしも容易ではないものと解される。
本判決では、「平面的な商品を、できるだけ忠実に再現することを目的として正面から撮影された商品全体の画像」、「できるだけ忠実に再現することを目的として正面から撮影された商品全体を撮影した平面的な画像2点」である点などを指摘して、著作物性を否定しているところである。
この点、東京地判平成10年11月30日・昭和63年(ワ)第1372号では、「本件写真(一)及び(二)のように原作品がどのようなものかを紹介するための写真において、撮影対象が平面的な作品である場合には、正面から撮影する以外に撮影位置を選択する余地がない上、右認定のような技術的な配慮も、原画をできるだけ忠実に再現するためにされるもの/であって、独自に何かを付け加えるというものではないから、そのような写真は、『思想又は感情を創作的に表現したもの』(著作権法二条一項一号)ということはできない。」(強調は筆者)と判断されており、同判決も踏まえると、撮影対象が平面的であること、写真の目的が撮影対象をできるだけ忠実に再現することを目的として正面から撮影されたものであることといった事情の有無は、写真の著作物性を左右する重要な要素ということができるものと解される。
また、本判決で判断されたとおり、インターネットショッピングサイトに関する権利侵害申告において、申告に係る権利侵害が認められない場合には、不競法2条1項21号の不正競争行為に該当するおそれがあることから、特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律3条2項2号の「特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者から、侵害情報等を示して当該特定電気通信役務提供者に対し侵害情報送信防止措置を講ずるよう申出」をするにあたっては、侵害の成否を十分検討する必要があるものと解される。
